中はこんな感じで静か。アカデミズムと伝統を感じる。公開時間と料金はMagdalen CollegeのHPで確認してね。

芝生がしましま。イギリスはどこにいっても芝生が綺麗。日本は無理に真似せずに、砂利でも敷いておいて、苔でも生やしておけ。そしてトヨタ校の制服は、ブレザーなんかではなくて、羽織袴にしておけ。

【モードリン】
もはやあまり多く語ることものないので、写真を並べて終わることにしようと思う。
モードリン・カレッジは、人影もまばらで、静かで落ち着いた非常に散策しやすいカレッジだった。正直いって、今回あちこち見学した中で、ここほど幸運に恵まれ、収穫が多く、感動したところはなかった。
私が予想していたよりもずっと小さいカレッジだったけれど、私が想像していたよりも、はるかに学び舎らしい清廉さと落ち着きを携えたカレッジだった。

観光客に踏汚されていたクライスト・チャーチの食堂とは一転して、おなじ食堂でも、人っ子ひとりいない静寂さ。このダイニング・ルームには、ワイルドの胸像が音もなく、飾られていた。

またこの日は、なにかの式典があるらしく、正装した美しい青年がカレッジ内を歩いていた。礼拝堂では、式典の練習なのか、アカペラの合唱団(タリススコラーズみたいなグループ)が練習していた。ステンドグラスの光が床に陰影を作る中、小さな礼拝堂の右に左に反響しあう、ポリフォニーの旋律にただただ感動するばかり。どんな立派な音楽ホールで聞こうとも、この美しさには敵うまい。音は外にも鳴り響いている。その美しさは筆説につくし難い。ああ、芸術家とは美しいものを創造する人なのだ。

庭には鹿もいた。川も流れていた。小さなカフェの横にパント乗り場もあった。川を下っていくと、クリケットを楽しむ人が見える。芝生は緑で、水は碧だ。自然と芸術がクロスオーバーするこの学び舎、ワイルドもその若いときを過ごしたかと思うと、感慨深い。

(2005年7月9日訪問)

礼拝堂前室。
献金して、蝋燭に火をともしてみた。
ステンドグラス。白黒。めずらしいね。
礼拝堂。私はショタの趣味がないので、少年合唱団よりも成人の合唱団のほうが好きです。と、大人ぶったことを言っておいて、この翌日に、ケンブリッジのキングスカレッジ合唱団を、最前列で舐めるように、ハァハァと聞きにいくのでした。えへへ。

学校っぽいでしょ。右の階段を登るとダイニングルーム、真っ直ぐ進むとティーハウス。
ダイニングルーム。いかにも学校という作りが、強烈なノスタルジーを掻き立てる。
右側にワイルドの胸像がある。中央に見えるのがそれ。
回廊より鐘楼を眺める。こんなところで勉強すると、お勉強がよく出来るような気がしてくるねぇ。

正装し胸に白い花をつけた絵になるお兄さんもいた。うぉぉ、アルフレッド・ダグラスみたいだ。
鹿までいる。ここで一発、イエイツあたりの詩でも暗誦すると格好いいのだけど、日本文学科出身の私は、和歌しか思い浮かばないのだった。しかも思い出せたのは、百人一首だけ。

奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき

おもいっきり季節違いじゃん。

ティーハウス。一般の人も利用できるよ。外にも席があって川を眺めながら休憩できる。いかにもイギリスらしいでかい不細工なチョコケーキを食べてみた。そうそう、この味この味。これが私は好きなんだよ。ここにはパント乗り場もあった。パントってのは、ほら映画でよくみかける1本棒のオールでこぐボートのことですよ。美形のバイトの学生さんに漕いでもらおう。
オフィーリアが沈んでいそうな川。芸術が自然を模倣する。
フィリッパ・ピアスの『ハヤ号セイ川を行く』を思い出した。
クリケット!クリケット!テニスやラグビーは世界中に広まったけど、なぜかクリケットだけは、広まらないんだよね。でもそこがいいのだ。川から見えるこの覗き見構図がまた興奮を高めてくれるぜ。
モードリン・カレッジのクワイアのCDをお土産売り場で購入。キングスカレッジやクライストチャーチや、トリニティなどはメジャーなので日本でも買えるだけど、モードリンの聖歌隊のCDって、珍しいよね。

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