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ダメ坊ちゃん被害者救済窓口 その1
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最近ダメ坊ちゃんこと劉鳳の被害に遭った人達からの苦情が、各方面から寄せられている。 この事態を重くみた連経済特別区域政府は、被害者救済と事件の全容解明にむけて、専用相談窓口を設けることを発表した。 ここで、働く小林さんの協力により、我々もその1部を見てみることにしよう。 なお、プライバシー保護のため、名前は仮名である、ご了承願いたい。 この講座は、劉鳳がいたるところに撒き散らした被害について学習する講座である。 いってみよう。 |
被害者その1 佐藤さん(仮名) ホールド総務課勤務 女性職員 27歳 |
小林 |
どうしました? |
佐藤 | ええ、劉鳳さんの制服好きには困っています。 |
小林 | 制服ですか? |
佐藤 | ええ、ホーリーの制服は支給なんですけど、あの人、いくつもいくつも欲しがって届けを出すんです。 その数っていったら、半端ではありません。 たしかに最前線で働く人は激務ですから、制服の痛みも激しいし、替えも必要です。 でも、いくらなんでもあんなには、必要ないんじゃないでしょうか。 彼の場合度を越している気がするんです。 |
小林 | そんなにたくさん申請するんですか。 |
佐藤 | ええ、それはもう。うわさでは、クローゼットの端から端まで、大量の制服がきっちり並べられているそうです。 |
小林 | それは凄いですね。 |
佐藤 | これはrei様って方から伺ったんですけど、31着もっていて日替わりで着ているそうです。 |
小林 | そんなに制服はいろんな種類があるのですか? |
佐藤 | いいえ、全部同じものです。それを31着も持っているんです。 |
小林 | あきれましたね。同じものを31着! |
佐藤 | それだけじゃありません、サスペンダーも31本もっているんですよ。 |
小林 | サスペンダーが31本! |
佐藤 | 柳橋さんって方がそんなこと言っていました。 |
小林 | でも、彼はいいところの坊ちゃんだから、正装する機会も多いだろうし、サスペンダーはそれなりに必要なんでしょう? |
佐藤 | いえいえ、正装したときじゃなくて、普段アンダーウエア―の上に着用しているのです。 そして、そのサスペンダー姿で本部内を歩きまわるんですよ。 |
小林 | つまりサスペンダー一丁という格好ですね。 |
佐藤 | そうです。サスペンダー一丁です。 |
小林 | (サスペンダー一丁か・・・。2枚目が台無しだな、劉鳳。あの男、自分が2枚目だってわかってんのかな?) |
佐藤 | ホーリーの制服は耐久性を上げるために、日鼠の皮でできているんですから、一着あたりの値段もかなりのものです。 彼は、お金持ちのボンボンだそうですから、経済的感覚ってものがあんまりないんですよね。 気がついていないみたいですけど、そのお金の出所は我々の税金なんですよ。 そのことわかっていただかないと。 |
小林 | 我々の血税が坊ちゃんの趣味のため、無駄に使われているというわけですか。 |
佐藤 | そうです、連経済特別区域の経済情勢は現在芳しくありません。 無駄な出費は押さえなければなりませんから。 |
小林 | 全くですね。わかりました、今日はどうもありがとうございました。 お仕事がんばってください。 |
佐藤 | ええ、さようなら。 |
小林 | っと、公費を無駄に乱用っと。…よし、はい、次の方。 |
被害者その2 加藤さん(仮名) ホールド総務課勤務 女性職員 24歳 |
小林 |
こんにちは、どうしました? |
加藤 | 聞いてください。私は、劉鳳さんのおかげでえらい目にあってしまいました。 |
小林 | 彼は何を仕出かしたんでしょう? |
加藤 | ホールドの公用車を私用で使ったんです! それも一番の高級車を何の届もなしで勝手に! いきなり乗っていってしまったんです! |
小林 | それは間違いありませんか。 |
加藤 | ありません。他の女性職員も大勢目撃しています。 証人になってくれます。 |
小林 | どういうことに使ったのでしょうか。ご存知ですか? |
加藤 | デートですよ、デート!! |
小林 | デートですか。やりますね。 |
加藤 | ほんと、あの子のくせに。 ええ、相手は、ホールドの出資者のご令嬢なんだそうです。 そのため、劉鳳さんへのおとがめは何もなかったんですが、私の方が迷惑してしまいました。 |
小林 | それはまたどうして? |
加藤 | その日は本部に大切なお客様があって、その車使う予定だったんですよね。 で、いざ職員が空港にお迎えにいこうとしたら、駐車場に止めてあったはずの車が忽然と消えているじゃあありませんか。 最初は驚きましたよ。 盗難にでもあったんじゃないかと思って。 |
小林 | ええ、最近は高級車ねらいの窃盗団がいますからね。 |
加藤 | しょうがないから、お客様は他の車で送迎に行かせて大事にはいたりませんでしたけど、行方不明になった車の方が心配で。 いつの間にか、キィがなくなっていたものですから、私の管理が問われてしまうでしょう。 真っ青になってしまいました。 |
小林 | 鍵の管理のほうは問題ありませんでしたか? |
加藤 | ありません。完璧です。全くどうゆう手段使って持ち出したかのか…。 実は先日、ネイティブアルターが脱走するという騒ぎがありまして、その際、地下駐車場に駐車してあった職員の車で、たまたまキィを指しっぱなしにしてあった車が、逃走に使われてしまったのです。 あのとき、キィを指しっぱなしにしておかなかったら、あんなにやすやすと逃走されなかったでしょう。 それで今、大変鍵の管理が厳しいのです。 あの車の持ち主はもっぱら減給処分といううわさです。 |
小林 | そうですか。(あのオープンカーの持ち主、災難だったな。) 管理はさらに厳しくしたほうがいいですね。 |
加藤 | はい、現在はさらに、本部内全ての管理を厳しくしています。 今後、こんな不届き者が二度とでないように、全館あげて取り組んでおります。 |
小林 | わかりました。がんばって、ホールド内の秩序を構築してください。 今日はどうもありがとうございました。 |
加藤 | どういたしまして。 |
小林 | …ええと、公共物私的流用っと、これでいいかな?被害の日時は○年○月○日午後○時○分ごろ。ホールド本部内と。 はい、次の人。 |
被害者その3 林さん(仮名) 男子大学生 19歳 |
林 |
ちわっす。 |
小林 | こんにちは。どうしましたか。 |
林 | もー最悪っすよ。あのアルター野郎のおかげで。 |
小林 | 何があったんです? |
林 | っと、俺、彼女とドライブいったんですよ。今人気の湾岸のあの公園に。 |
小林 | ああ、あそこですか。あそこはデートスポットに人気があるそうですね。(さっきの女性職員がいっていたのはここのことかな) |
林 | そうそう、その日もいっぱいカップル来ていましたよ。 俺達もそのうちの一組だったんですけどね。 |
小林 | それはよかったですね。楽しかったですか。 |
林 | ああ、途中まではね、だけど途中から最悪でしたよ。 今思い出しても腹が立つんだけど、あの時俺は、彼女と結構いい雰囲気になってきて、これはいけるって思ったんですよ。 ところがそのとき、あのヤローが。 |
小林 | あのヤローがどうしたんです。 |
林 | いきなり雰囲気ぶち壊したんですよ。 アルター呼び出して、公園ぶち壊しやがって。 |
小林 | ぶち壊したんですか!公園を。 |
林 | そうですよ、コンクリートくだくし、手すりは破壊するし、怖かったですよ。 そぐ横で手すりによさりかかっていた彼女なんて、突然グヮシャッてその手すりが吹き飛んだんで、恐怖で真っ青でした。 飛んできたコンクリートの破片が、顔にあったって、すんごい小さい傷でしたでと、頬が切れちゃって。 |
小林 | それはお気の毒に。いい雰囲気だったのが、いきなりそんなことがおこって、さぞショックだったでしょう。 |
林 | 一瞬、その場はパニック状態でしたよ、近くに居た人、いっせいに逃げ出すし。 俺も、あんなに近くでアルター犯罪見たのはじめてです。 |
小林 | 市街のアルター犯罪は少ないですからね。 |
林 | 市民を恐怖のどん底に落とすなんて、最低っすよ。 結局その日は、彼女をそのまま家に送って終わりでした。 せっかく、奮発してレンタカー借りたのに。あのヤローのせいでいい迷惑でしたよ。 |
小林 | 確かに。それではあなた方以外にも、その場に居た人達も、被害を被ったことになりますね。 |
林 | ああ、そうでしょう、みんな怖かったと思いますよ、間近であんなの見たら。 なにしろ、一瞬で砕け散ったんだから。 それに、あの後しばらく公園が補修されるまで、そこのところは進入禁止でロープ張られて、使えなかったみたいですよ。 せっかくの市民の憩いの場が台無しですね。 |
小林 | 公園はみんなの物ですからね。 |
林 | そーですよ。 |
小林 | わかりました。ありがとうございました。彼女と仲良く楽しんでください。 |
林 | もちろんっす。そいじゃ。失礼します。 |
小林 | ええーと、器物損壊と。人的被害もあり。○年○月○日午後○時、場所は○○公園内。 はい、次の方。 |
小林さんへの報告はまだまだ続くが、ここで一回休憩しよう。 |
一生懸命な彼を、どうか暖かく見守ってやってください。 追記・5話は湾岸の公園に運転手らしき人がいるので、本当のところは劉家の車かもしれません。 rei様はS’cafeの管理人様です。こちらの劉鳳は制服を31着持っています。リンクの頁から進めます。 |