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カトウ教授は何処にいったか?
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ガンダムSEED |
● 機動戦士ガンダムSEED 2002.10.〜放映 全50話 原作/矢立肇・富野由悠季 監督/ 福田己津央 シリーズ構成/両澤千晶 脚本/両澤千晶・吉野弘幸・面出明美・大野木寛・こぐれ今日子・野村祐一 キャラクターデザイン/平井久司 メカニックデザイン/ 大河原邦男・山根公利 制作/ 毎日放送・サンライズ |
今週でSEEDもおしまい。 各話コラムもこれでおしまい。 当初はフツーにアスラン萌えで始まったキャラ萌サイトだったが、こうして終わってみると、アスランメインと言っておきながらカトウ教授やマツキヨ導師や宇宙クジラのほうが出張ってしまい、肝心のアスランがあまり登場しないサイトになってしまった。 振り返ってみると、どうもカガリの描写が崩れ出した17話『カガリ再び』からカトウ教授がどうこうと言い出し、ザラ隊長がシロー隊長(@08小隊)の足元に及ばない阿呆だと判明した24話『二人だけの戦争』から福田夫妻がどうこうと言うようなり、キラが悟りを開いたフリーダム受諾後は、こちらも開き直って宇宙クジラがどうした言うようになったらしい。34話以降は明らかにネタサイトとして昇天させることに神経を集中させていたのは事実である。 どうしてこんなところに来てしまったんだろう? 思うにこれは、アスランがもう一人の主人公というわりに出番が少なく、たまに出ても「キラ…」しか台詞がなかったためではないだろうか。 なのでキラと同じ陣営になり、当初は彼が担うはずだったプラントの未来を、イザークの双肩に明渡して以降、アスランは急速に存在意義が薄い人になってしまったのではないかと思われる。 キャラ特長であるメカ好き設定も、オーブ潜入やジェネシス第3射発射阻止など、いかそうと思えばいくらでもいかせる場面があったと思うのだが、出だしのOS書き換えと終盤の修繕指示を除けば、これといって特に有効に活かされることもなく終わってしまった。 オーブ潜入調査などは、それこそハロマイスター・ザラの格好の見せ場だと思うのだが、自作の電子工作作品取り出すわけでもなく、モルゲンレーテの警備システムの打破一つ試みるわけでもなく、ただ目立つ姿で街中をベラベラしゃべりながらぶらつくという4馬鹿トリオぶりを披露したにすぎなかった。 厳重警備というわりに、トリィが簡単にフェンス行き来出来るのだから、あそこはポケットに隠し持っていたトリィ2号を飛ばしてドックの様子を内蔵カメラで撮影し、それを元にオーブに圧力かけてザフトが優位に立つぐらいのことはやってもらいたかったのに。だいたいあんなフェンスごとき、ザラが無人島で見せた跳躍力を持ってすれば、わけなく飛び越えられると思うのだけど。何をこの人は警備が厳重だと感心しているのだ?あれならピンクハロだって単身調査出来そうじゃん、っていうかピンクハロのほうが優秀だよん。 しかしアスランは何もしないで報告義務怠った挙句、補給のみを済ませてさっさと出撃してしまった。 白菜投げてバルジ潜入したヒイロ・ユイが懐かしいぜ。 副主人公最後の活躍チャンスである最終話は、現場到着してみれば、既に父はそのへんに立っていた雑魚キャラに殺されて死んでいたという出番のなさで、親殺しの大罪をまんまと免れるわ、最期の決着はつけそこなうわ、死んでいく父に親不孝を詫びるシーンもないわ、メカヲタ設定いかして発射システム打破を試みるわけでもないわ、あっさりとジャスティス自爆を選ぶわで、情けないこと通常の3倍である。 「内部でジャスティスを核爆発させる」 そんなものはお家芸のヒイロ・ユイにでもやらせておけ。 やっぱしここはアスランだったら、機械好きの意地をかけて、プラントトップに立つコーディネイターの知力振り絞ってモニターに向かい、キーボードを叩き、刻々と減っていく残り時間と戦いながら発射システム制御させなきゃダメだろ?そしてお約束通り発射1秒前にEnter押して制御成功。 (じゃあ、ジェネシスはどうするかって?そんなものは、ジャスティス脱出後、フリーダムが木星からのマイクロウェイブ使って打ち落とすのじゃよ。これで一気に木星ネタも回収だ!それはガンダムX) このように、アスランはそもそも出番が少ない上に、キャラ設定活かした活躍の場が与えられず、物語前半部ではキラキラ言っているだけ、独自のキモい変形が売りだったイージスは中盤にて引退、その後乗り換えたジャスティスはファトゥムを除けばフリーダムに圧されてイマ一つ目立たず、ストーリーの要となるキラとの和解は「知らなかった〜」「殺したくなかった〜」「いっしょに探しにいこうよ」のジェットストリームアタックでなし崩し的にオールオッケイ、陣営移籍でスポットが当たるようになったディアッカとは反対に共闘後は存在が薄くなり、砦だったザフトを担う立場もライバルイザークに明渡し、プラントの未来の象徴的立場もラクスとの婚約破棄をもって消滅、父ザラ議長との決着はぽっと出の雑魚キャラに持ってかれる…とまあ何とも不遇な主人公であった。 結局全編通して一番インパクトがあったのは、ハロ大量生産と独特な動きによる立ち居振舞いだったような気がする。 おかげでアスランは、キラキラ言いながらマスコットロボを作っているキモい人の印象ばかりが強くなってしまったではないか。 そんなんでは困る。これでも有能で格好いいアスランが好きなのだ。 こんなんだったら、中途半端ではっきりしない正義や平和など掲げず、いっそアスランはキラのために戦おう、ただ俺はキラのために戦う、キラの手となり盾となろう、イージス(盾)を捨てた俺が今からキラの盾となる、正義など必要のない、俺の正義はこのジャスティスだけだ、それが俺の信念だ、ぐらい言ったほうがよっぽどよかった。そのほうが キラとの和解やザフト離反や共闘も納得しやすくなったし、話の整合性も取れた。変にやおい臭いだけよりはるかにすっきり収まった。 とどのつまり、アスランが活躍の場に恵まれず今ひとつ奮わなかったこと、それがこのサイトでの登場回数にも影響を与えたのではないかと思われる。 その結果、話題の中心は作劇のダメさ加減の集積所キラ・ヤマトに移行し、カトウ教授やくじら石といった『たぶん回収されないだろ』モノをさも重大なもののように囃したてていく(なんたって回収されないだろうからいくらでも好きなようカスタマイズ出来る)ネタサイトにシフトしていったのだろう。 SEEDは終わってしまったけれど、結局カトウ教授もくじら石も何も解明されなかった。 マツキヨ導師も正体不明の一発謎キャラで終わってしまった。謎は謎のままだ。 カトウ教授は1話で名前のみ登場した謎の教授だ。詳しいことは何も解らない。 解っていることといえば、キラ達ヘリオポリス組はカトウゼミの学生と呼ばれていたこと、教授はキラにモルゲンレーテの仕事を手伝わせていたこと、KATOというプレートのかかった研究室がモルゲンレーテ内にあること、カガリが教授を訪ねてやってきたこと、そのぐらいだ。 そんな少ない情報を元に考えると、教授はG開発に関与した人物であり、キラもそれを手伝わされていたことが推察されるのだけど、本当のところどうなのかはわからない。何しろついにその姿を我々の前に見せることはなかったのだから。 もちろん緑川ヴォイスかどうかもわかりません。 実は教授がキラの実のお父さんで 「アイム ユア ファーザー」とキラに向かっていってくれる展開を期待していたのだけどなぁ。 最後まで登場しなかったところみると、教授は一等最初のヘリオポリス襲撃に巻き込まれて亡くなったのかもしれない。キラがラボへ行ったとき、教授は留守で部屋には鍵がかかっていた。教授を訪ねてきたカガリは待たされていた。あれはもしかして、教授はGの引渡しの現場に行っていたのではないか?自分も開発に関わったGが置いてある工場区へ行っていたのではないか?そこで運悪くG奪取しようとするザフトと鉢合わせになったのではないか? たぶんそうだ。きっとそうだ。教授はGがある工場区へ行っていたのだ。そこにザフトが奇襲してきたのだ。あの日あの時教授はザフトが仕掛けた爆破に巻き込まれたか、あるいは流れ弾にでも当たってしまったのだろう。教授は1話で死んでしまったのだ。あそこで殺されてしまったのだ。カトウ教授は死んでしまった。カトウ教授は死んだ。 そしてたぶん カトウ教授を殺したのは、アスランだ。 ―機動戦士ガンダムSEED 完― |
03/10/10