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ポケットの中の戦争
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『ガンダムSEED FESTIVAL』なるイベントが暮れも押し迫った12月27日に開催されるそうな。
ワーイ、キラたんやあちゅらんがいろいろお話してくれますよ。いやったあ!って、そんなこと 作中で語れよ。 ポケットの中の戦争は、そんなSEEDの作劇に満足出来なかった貴方に薦めるぎゃんだむです。 ●機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 1989年製作/OVA・全6巻・各30分/監督:高山文彦/バンダイビジュアル ▼おおざっぱ作品案内 ガンダム初の本格OVA作品で、ガンダム生みの親・富野以外の手ではじめて製作されたことで話題になった。 製作は昭和天皇がお隠れになり、平成の世に移った1989年。 その当時私はバブル円熟期を歐歌する阿呆学生で、日経平均株価は…と、ここでこんなことを書いてもしょうがないので省略。 舞台はU.C.0079年末、一年戦争の末期のサイド6。その頃私は横浜の…とやっぱりそんなことを書いてもしょうがないので略。 この作品のガンダムパイロットC.Vは林原めぐみ嬢。 この話は宇宙世紀の話だけれど、ファーストやZ、Vといった他のガンダムシリーズを未視聴でも全く支障はない。他のシリーズ見たことないし、ガンダムよく解らないし、なんか難しそう…という心配はご無用。予備知識なしで見ても、話はばっちし解る。もちろん別媒体から情報を仕入れないと、話が完結しないなんてこともない。 本編だけで話が完成しているので、その手の心配は一切不要だ。 また、アムロくんやカミーユくんにはちょっとついていけなかったという人も安心。 主人公はニュータイプでも強化人間でも月の帰還民でも純粋培養テロリストでもなければ、種持ちでもないごくごく普通の少年。むしろ学校では成績の悪いおちこぼれだったりする。その他出てくる人もみんなオーディナリーピープルで良識人、有力者の子弟などはおらず、実際身の回りにいそうな等身大の人達ばかり。 なので感情移入もしやすい。 1年物は長いなぁ、見るの大変そうとおっくうがっている人にもぴったり。なにしろ全部でたったの6話。たったの6話なのである。SEED50話見つづけた貴方なら、こんな長さどうってことない。その気になれば1日で見終わる長さである。 ガンダムブランドのおかげで、たいていのビデオ屋さんに置いてあるし、貸し出し中でいついってもからっぽということはそうそうない。 これなら時間の取れない忙しいビジネスマンでも大丈夫だし、おこづかいの少ない学生さんも手がのばせる。 お近くのビデオ屋さんで見つけたら、早速借りて視聴してみよう。 そしてこのアニメーションには、SEEDの作劇で足りなかったものがもれなく込められいるのだ。 ▼おおざっぱあらすじ 主人公は中立コロニーで平和に暮らす民間人の学生さん。そこにジオン軍が中立コロニー内に隠された連邦のガンダムを奪取及び破壊するため潜入してくる。ガンダム破壊のためにジオンと連邦はコロニー内で戦闘を開始。静かだった街はめちゃめちゃとなり、戦争という現実を目のあたりにする主人公。この民間人の少年とジオン軍の兵士の友情を中心に、戦時下の人間ドラマが描かれる。 と、おおまかにいうとこんなストーリー。 あれ、どっかで聞いたことある話だなぁと思った貴方は正解。そ、SEEDといっしょ。お・ん・な・じなんだよ! 登場人物はこんなかんじ。 ▼おおざっぱ登場人物 ・アル…中立コロニーの民間人の少年----&その家族・学校の友達 ・バーニィ…ジオン軍兵士------&彼の所属する部隊の隊員・上層部 ・クリス…連邦軍兵士------&連邦の兵士 おお、これまたC.E.でも見たような配置だね! 中立コロニーで平和に暮らしていたところにジオンがガンダム奪取・破壊のため潜入してきて、コロニーはめちゃめちゃ、一挙に戦争という現実に巻き込まれる主人公。そしてそのコロニーは最後には核攻撃の目標にされてしまう。主人公達二人は、核攻撃を阻止するため、立ち上がって協力する…とあらすじだけ書くとC.E.にも似たようなことがあったなぁと思うわけだが、この話も主人公2人の友情が見所の一つ。 アスランとキラに納得いかなかった方には、アルとバーニィの友情を是非とも見ていただきたい。 もうこの二人の友情が泣けるのなんのって。 アルとバーニィはキラとアスランのように優秀な生徒や兵士ではない。二人は学校や軍ではおちこぼれだったり、新米のひよっこだったりする。アルの友達はキラがいるカトウゼミの学生のように優等生ではない。バーニィが所属するサイクロプス(!)隊も、赤服まとったクルーゼ隊のようにエリートというわけでもない。 またバーニィにあるのは最新鋭の最強兵器などではなく、壊れたザクが1機だけ。 アルが持っているのは潤沢な資金で贅沢にチューングされた遺伝子などではなく、小さなカメラが1台ぽっきり。 そんな持つべき力もない一兵士と一市民が機知を働かせて、機転を利かせコロニー内に隠されたGを探し出す。 最初は作戦上の便宜のためアルに近づいたバーニィだったけれど、いつしか二人の友情は本物になっていく。そして最後には、自分の意志で戦いを選び、自分の言葉でその決意を語り、話は静かに終了していく…。 おお、これだよこれ!力のない者が知恵と勇気と協力で戦い、自分の言葉で自分の想いを語る。 私が見たかったのはこれなんだよ! 自分たちの状況や想い、「戦争」について感じている事、それを作品の中で伝えなきゃ駄目だろ? 策を練ったり技を凝らすことなく、戦闘は常に力押し、機体性能がすべて、操縦者能力がすべて、力がすべて、すべては力でねじ伏せるという調子のC.E.のみなさんも、この姿勢を見習っていただきたい。 特に力だけが僕のすべてじゃないと叫びながら、次の瞬間には力でクルーゼねじ伏せて押し負かしたキラくん。 (作劇のテーマとして有能な奴が「僕は力だけじゃない…でも周りは力としてしか見てくれない」と悩むドラマにしていれば、キラきゅんもちっとは受け入れられたかなぁ。) あと潜入調査といいながら目立ちまくっただけで、報告義務怠って、作戦も立てないで出撃して、それでキラを撃てなかったのは俺の甘さだとか騒いでいたザラ隊長。しつこい (ただの小学生のアル少年ですら民間企業を装った敵基地に潜入して、Gの存在を突き止め、ばっちし証拠写真まで撮ってきましたよ?ただの囮部隊でしかないサイクロプス隊だって常に作戦立てて隊員の統率とってから出撃していましたよ?あ、言い忘れましたが、主人公の民間人の少年というのは、小学生です。) 自分の状況や想い、戦争についてどう感じているか?その人物なりの意見を示すことを視聴者は臨んでいるのである。 それなのに「どうやって戦争を終わらせるか?」というご大層な課題を掲げたわりに、最後にたどり着いたのが「どーしてこんなところまできちゃったんだろうね?」だもんなぁ。 あるいはそのご大層な課題に答えを出すのではなく、問題提示すること、それこそが目的いう見方も出来るかもしれん。 しかし、それにしたって、主人公なりの意見ぐらいは聞かせてもらいたかった。 所詮ちょっとヒーローが局地で活躍したぐらいで、解決できるほど世界は甘くはないだろうし、どの道万人を納得させるような答えなど最初から無いのだから、だからこそ、なおのこと、キラならどう思うか?アスランなら何を想うか?それぞれの想いの丈を作品の中で語ってほしかった。 結局、主人公達は答えを示すことなく、指示代名詞ばかりで不明瞭なフレーズの羅列と「では貴方はどうお考えなのです?」と質問を質問で返す論法で、具体性皆無のまま煙に巻いたに過ぎなかった。 仮にも途中訳知り顔で解ったようなことをのたまった以上、何らかの答えを残すのが妥当だと思うのだけど。 だってさ、主人公が主人公なりの答えを出さないとさ、砂漠の虎がその問いを主人公に投げかけた2クール目でSEEDは完結していた!ということになっちゃうよん☆ ▼おおざっぱみどころ その他、SEEDではほとんど無視された市井の人々生活が描かれたり、ついぞその姿を見せることがなかったカトウ教授もどきの人物がさりげなく出演したり、ガンダムパイロットが(死傷者を出してしまったことに対して)「仕方なかった」発言をすると、すかさず抜群の突っ込みをいれる名無しキャラが登場したり、憎しみの連鎖はやめよう発言が出現したり、大人と呼べぶにふさわしい大人が出てきたりする。 またマクロススタッフがいるせいか、ノーマルスーツがマクロスチックで、ラクスが歌って戦争を解決♪と暢気なことを言っていたころが懐かしくなったりするのも付け加えておこう。 派手なヒーローや兵器などはありませんが、見終わった後、戦争の悲惨さや、戦時下の人の心の動きが、じんわりと伝わってくる良作なので、以下のものに当てはまる方は、視聴してみるといいかもしれません。 ・キラくんに意見する者がいなくてイライラする ・ザラ隊長がマヌケで困る ・役立たずの大人は勘弁してほしい ・STOP THE 電波会話 ・戦闘は力押しより技と策と労だ ・ガンダムパイロットたるもの、作品のテーマぐらいは語るべし ・〆が肝心 次回は打ち切りガンダムでおなじみ ガンダムX再評価団体をお招きして『講演会〜ガンダムX DVD発売を目指して〜』をお送りします。お楽しみに!(嘘) これで田中さんが、私もいつラクスがキラを好きになったか解らないんですよ〜と発言したら大笑いだ! |
03/10/24webmaster:riyo