カガリ・ユラ・アスハ


ガンダムSEED人物ファイル
 ●カガリ・ユラ・アスハ
中立国である オーブ連合首長国 ウズミ・ナラ・アスハ代表の娘。無茶とも言える超活動的な性格。


今週はガンダムSEEDぶっちぎりトップの問題人物カガリ・ユラ・アスハさんです。
嫌な予感がした方は今すぐブラウザのバックでお戻り下さい。
それでははじめてまいりましょう。24話コラム■マリュー・ラミアスもあわせてどうぞ。



◆社会勉強という名のもとに

今週、ヘリオポリスにいた少女が砂漠で戦っていた理由が本人の口から明らかされます。
この件に関してカガリ・ユラ・アスハ嬢の発言を要約すると以下のようであります。
自国で地球軍の兵器が作られているという噂を聞き、それをヘリオポリスまで確かめに行ったところ、事実だったのでショックで父に問い詰めたら、お前は世界を知らないといわれた。そこで家を出て、砂漠で必死に戦っている人をみて自分もそれに参加することにした。

はーい、先生。その設定無茶があると思います。


カガリがキラとヘリオポリスで別れてから、砂漠で再会するまでどのくらい時間が経っているのでしょうか?
1ヶ月くらい?そんなに経っていないでしょ。じゃあ半月?そんなにも経っていないような。うーん、せいぜい10日とかそのくらいのレベルだと思うのですが。
(詳細なタイムテーブル教えて下さい 切望)

その間にカガリ嬢は
ヘリオポリス→オーブ→世界を知る旅→リビア砂漠
を移動し、キラと再会したときには明けの砂漠の女神として君臨していたってわけですか。
時間的に厳しいにゃぁ。
移動時間差し引くとロクに日がないじゃん。
キラと再会したのって砂漠に来て何日目というレベルになると思うのですが。
それでもう女神になってちやほやされていたってことは…
もしかしてそれって、キサカの金の力?
それってキサカの金の払いっぷりがいいから、みんな女神がやってきたってちやほやしたんじゃ…。
でそのお金というのは、額から言ってキサカのポケット・マネーというわけではないだろうし、あのクラスの士官が勝手に流用出来るとも思えないので、アスハ代表が用意してくれたお金じゃないの?護衛につける際、馬鹿娘はなんとしても死なせるな、多少のことは目をつぶるって使用許可してくれたお金なんじゃないの?

もしそうだと仮定すると姫さまは社会勉強と称して、父の金使ってゲリラ支援していたのですか。
中立国の姫さまともあろうお方が国のお金使ってゲリラ支援。
やっべー、そんなことしていいの?国際問題にならないの?外交上大問題にならないの?国家レベルの問題じゃないの?
憲法第9条を持つテクノロジー大国日本の皇室の何とかの宮さまが、社会勉強のためアフリカでゲリラの支援活動を独断で税金投入して行っておりますってことになったら、エライ騒ぎになると思うんですが。
さらに戦争中の余所の国の母艦に乗ってそのまま横須賀港に入港なんてことをしたら、国を揺るがす大問題になりそうな気がしますが。
街角では天皇制反対の議論がにわかに高まり、国会前では平和団体が抗議行動を行い、女性団体は一斉に署名活動を開始、出ていけアークエンジェル、ノーモア・ワーとかプラカードを持った人が横須賀の町にあふれる、そういう事態が引き起されやしないだろうか。
外務省や宮内庁や防衛庁はどう対応するのでしょう。
皇室ジャーナリストの皆さんはどう報道するのでしょう。
自国近くの海域で余所の国が戦闘行為を行っている様子は、街頭モニターでばっちしセンセーショナルにライブ報道されいましたが、あの中に我が国の姫がいらっしゃることはうまくもみ消せたでしょうか。翌日にはいたって平和な街並みが映し出されているところを見ると、大衆の情報操作はうまくいったのでしょうか。

また焼き討ちにあった明けの砂漠の人は今どうしているでしょう。
ザフトの目的は領土拡大ではなくて鉱山資源と言っていました。
残存勢力残っているのに、暴れるだけ暴れてその後の処理もしないで、金づるだけ消えちゃったなんて報復がさぞ恐ろしそうです。
報復攻撃でキラとカガリがショッピングを楽しんだあの街も今ごろは容赦無く焼き払われてしまったのでしょうか。サイーブなんて命ないかも。アフメドのおふくろさんもヤバそうです。
100年も独立しようと闘っているところで数日女神さまを務め、ハイさようならで立ち去り、母国に地球連合軍の新造戦艦でただいまーっていうのは凄い社会勉強です。
って、一日消防所長さんじゃないつーの!
つーか一日消防所長さんでも務めていたほうがよっぽど社会勉強になるって。
オノロゴ島の海岸清掃でもさせてたほうがいいって。ゴミ拾いさせてたほうが勉強になるって。
こんな騒ぎを引き起こしておいて、ほっぺた殴られただけで済んだのでしょうか。
自分のやっていることの重大さがわからない年齢じゃないと思うのですが。
身分からするとトップレベルの平和教育を受けていていいはずなのに、教育係はいったい何をやっていたのでしょう。どう育てれば大国の姫が「うんめ〜」とか「てめぇ〜」なんて言葉使いをするのでしょうか。いくらお転婆だと言ったって、姫として育てられた身ならばこんな言葉は出てきやしないと思うのですが。

それからエドニル・キサカは使途不明金の使い道をウズミ様にどう報告したのでしょう。
エリカ・シモンズに詳細報告しているところをみると、姫さまの一連の超活動的な活動内容も包み漏らさず報告済みでしょうか。
しかし常識的に考えて中立国の要人の娘がゲリラなんて始めたら、拉致してでも本国に連れ戻すのが護衛の務めだと思うのですが、キサカまでいっしょになって戦ちゃってなんだそりゃ。
何であなたまでいっしょになって戦っているんですか。
しかもあの背中にしょった弓はなんですか!
あれでバグゥを打ち落とすつもりだったんですか。
まさかあれがPS装甲やミラージュコロイドを生み出したモルゲンレーテの新型試作兵器っていうオチなんじゃ…。

先生、この設定にはだいぶ無理があると思います。脳内補完が追いつきません。

ところで行方不明の間はお風邪ということで公の席はご欠席ですか?
やっぱ国民は姫さまをみると、手をふってくださるのでしょうか?

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◆脊髄反射と記憶障害

父が代表を治める中立の国で地球軍の新型機動兵器が作られていたのにショックを受けるのはわかる。
それを確かめにヘリオポリスまでお忍びで視察に行くのもわかる。
家に帰って父と衝突して、お前は世界を知らんといわれて飛び出すのもわかる。
しっかし、それでゲリラの支援をするっていう発想がわからん。

だってどんな陣営にもつかないはずの中立の国で地球軍に手を貸すという行為が行われていたのに憤っていたのでしょう?他国の争いに介入しない中立国でそんなことが行われていた、そんなこと許せるか、お父様の裏切り者!って。
なのに中立国の姫である自分も他国の争いに介入して戦闘行為するなんて、立場にあるまじきことを平気でやるのはどういうこっちゃ。
父に裏切り者っと言っておきながら、自分もおもいっきり裏切り行為しているじゃん!
支離滅裂。無茶苦茶矛盾しているじゃん。どういう思考回路をしているんだか。
それとも裏切り者の父へのあてつけなのでしょうか?
父がそんなことするなら自分でもやってやれって。
このくらいの子によくある親への反抗心ゆえのものなのでしょうか?
でも、砂漠での自信に満ちた様子からはそんなことは感じられなかった、自分は正しいと信じているようだったし。だからこそ無茶な行動がもとでアフメドが死んでも、我が身を反省するもないのだろうし。
必死に戦う姿に何か感じるものがあって参加したのであって、裏切り者父へのあてつけや嫌がらせがレジスタンス参加の理由とも思えません。

しかしいくら戦っている姿に心動かされたからといったって、他国の戦闘に脊髄反射で参加しちゃったのでしょうか?オーブ連合首長国の最高責任者 ウズミ・ナラ・アスハの娘が。他国の戦闘に。
お父様の裏切り者って叫んだのは忘れちゃったの?自分も裏切りものになっちゃうんだけどいいの?
無茶とも言える超行動的な性格ゆえに黙っていられず脊髄反射で加わるにしたって、心の葛藤というものはなかったのでしょうか。話の流れからいったら、そんな思いの一つもあってもよさそうですが。みんな必死に戦っている、守るために。自分も戦いたい、でも余所の国に手を貸したら裏切り者のお父様と同じになってしまう、だからといってこの状況を見て放っておけるか…でもそんなことしたら…みたいな。
迷う様子もなく自信満万に銃を手にとっていたカガリ・ユラ・アスハですが、彼女自身は平和の国の姫という立場をどうとらえているのでしょう。

同様にAAに乗るときも、全然葛藤というものがないっていうのがまたわかりません。
普通だったら裏切り者の父の建造したAAに乗るときは相当な葛藤があると思うのですが。
中立国でこんなものが建造されていた、お父様の裏切り者っ!こんなこと許していいのか、これは地球の人を殺すんだろ、そんな戦艦にはからずも自分も乗ることになった。自分も裏切り者だ。でも、この船は絶対に沈めちゃいけないって気がする、だけどこれは地球の人を殺すんだろ…でもみんな必死で戦っているんだ…作ったオーブが悪い…でも…オーブ・父・自分の立場・AAといろんな葛藤があってしかるべきなのに、この人物にはそんな様子は何も見られません。

本当にヘリオポリスを訪れた少女と同一人物なんでしょうか?
モルゲンレーテの工場区の手すりにつかまって嘆き叫んでいた平和の国の姫と同一人物なんでしょうか?
あのときのカガリ嬢と同じ人?
ニコニコ笑って他国の戦いに介入し、アークエンジェルを堂々と歩き回る姿からは、地球軍の新型機動兵器に嘆いていた平和の国の姫のおもかげはありません。
なんじゃそりゃ?
いったいどうしてしまったのでしょうか。やっぱあれでしょうか。救命艇で避難中に酸欠で記憶障害が起こったんでしょうか。




◆無茶ともいえる…

種のキャラクターは基本的に記憶障害をかかえていますが、中でもカガリしゃんはとびぬけて重症です。
前話で自分がやったことをすぐ忘れる。で忘れたかと思ったら突然思い出す。以前との変貌ぶりにこれは成長なのか?と思ってみれば、いきなり元に戻ったりする。とにかく整合性をつけがたい時事のオンパレードです。

何も考えていないのなら、わざわざ噂を確かめにヘリオポリスまで行かないと思うし、嘆いているっていうことは中立国のあるべき姿を適切に理解していると思うのですが。
しかしそうかと思うと中立国の姫にあるまじき裏切り行為を自信満万でとる。そのくせ裏切りの象徴ストライクの搭乗者には怒りをぶつける。自分は笑いながら地球の人を殺す、でもってイージスにパイロットには、それは地球の人を殺すのだろと涙ながらに訴える。さんざん自分も裏切り行為をした上で、今もなお父を責め立てる。
わからん、非常にわからん。首尾一貫してないなぁ。

この人は中立国の姫という自分の立場をどう捉えているのか、自分がやっていることが解ってやっているのか、それとも解らず脊髄反射でやっているだけなのかとにかく解り難い。

例えばキラ・ヤマトの場合、戦闘における葛藤は繰り返し描写される、彼の置かれている立場を強調するシーンもしつこく出る。なのでたとえ共感出来なくとも納得はいく。
自分が戦ってみんなを守らなきゃ(回想シーン)
    ↓
でも僕は殺したくなんかないのにー(回想シーン)
    ↓
でも僕が戦わなきゃまた…(回想シーン・エルたん合掌 関ヴォイスフレイパパ合掌)
    ↓
最初に戻る。
    ↓
以下繰り返し
(しっかし既に28話なのに成長の兆しが見えない主人公ってのもスゴイな)
ラミアス艦長もキラくんに戦わせたくないと思いつつ、彼の力に頼らざるを得ない現状に悩む様子も、自分が置かれた難しい立場に苦しむ姿も表現される。だからやはり納得がいく。

しかしカガリ・ユラ・アスハにはそれがなかった。
ニコニコ笑って地球の人を殺し、射殺されるブルーコスモスを平然と眺め、オーブ製のアークエンジェルに平気な顔で乗り込む。伏線となるような鬱もなければ葛藤もない。裏切り行為を疑いもなく堂々と行う。
ゆえにそこにお父様の裏切り者と叫んだ少女の姿を垣間見ることは出来ない。
しかし、そうかと思うとストライクに搭乗しているキラを見て突如殴りをあらわにしたり、イージスに搭乗しているアスランに唐突に「作ったオーブが悪い。でもそのガンダムは地球の人を大勢殺すだろ!」と涙ながらにせつせつと訴えたりもする。また帰国後も父は裏切り者でオーブはずるいと発言したりもしている。
中立国の姫さまになったと思えば忘れてみたり、突然思い出したと思ったらまた忘れてみたり。
しかも自分のやってることを棚に上げて人のやっていることに感情をぶつけているため、始末が悪いことこの上ない。

さらに物忘れは激しさは尋常ではなく、アフメド死んだとき大騒ぎをしておいて、次の回で仇である虎屋敷にいってもこれっぽっちも思い出さず、(なんで思い出さないの?前日ぐらいの出来事だと思うのですが)でその後石もらって突然思い出す。お父様の裏切り者のAAに決めたからなで強引に乗船(なんで乗れるんですか?)スカグラ乗せろと騒いでスカグラいきなり乗りこなしたと思ったら(何で乗れるの?)次にはいきなり墜落。(軍人でもないのに乗せちゃっていいの?)銃も撃ったことないのかとAA2等兵を小馬鹿にしたかと思えば、自分も平気で暴発させる。

なんだそりゃ?

言っていることもやっていることも、時系列も整合性も心の機微も何もかもがとにかく無茶苦茶。
カガリ・ユラ・アスハに関する時事は無茶としか言い様がない。そのぐらい破綻している。ついでに私が今書いている文章も無茶苦茶。
『無茶ともいえる超活動的な性格』って言うが、そもそもそれで納得させようってのが無茶なんだよ!

先生、カガリ・ユラ・アスハにはだいぶ無理があると思います。脳内補完が追いつきません。




◆イベント

このようにカガリ嬢はキャラクタの破綻が濃厚であり、彼女の再登場以降、脚本がグダグダに崩れ出し整合性をみないものになっています。
(そういえば、このサイトがフツーのキャラ萌サイトからカトウ教授を始めとするネタ系に転換したのもこのあたりからでした。)
描きたいイベントがあって、それを描かんとするために、途中の経過はおしなべて無視。
レジスタンスの女神になれた理由もAAに乗船出来た理由もスカグラ勝手に操縦してお咎めなしな理由もすべてなし。納得がいく説明がされる気配はなし。
辻褄が合わない箇所、説明が放送分ではなされない箇所は視聴者が随時脳内補完。
キャラはイベントに合わせて都合よく改ざん。
(今週は『キラとアスランを逢わせる』イベントのため、人情派マリュー・ラミアスは超無神経な女に、エリートパイロット アスラン・ザラはマヌケ軍人に 最先端企業モルゲンレーテは公立小学校以下のセキュリティに)

フィクションは偶然の積み重ねによりストーリーが進展していくものですが、そういった偶然に必然の理由づけすること、それが話にリアリティを持たせ深みを与えるんじゃないですか?
尺が埋められない分をはしょったり回想シーンで誤魔化したりするのが、この作品を薄っぺらなものにしていると思うよ。
フェンス越しの二人というイベントだけ書いても、人間の心の機微がフィルムで表現出来ないようでは感動は呼べないじゃろうて。

ストーリー進行上発生する矛盾や不可解な部分に理由づけをし、整合性をもたせていくことこそ、構成家の血の騒ぐところじゃないっすか?

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03/4/26