|
PHASE-36
|
|
|
ガンダムSEED STORY |
● PHASE-36 正義という名のもとに 脚本:吉野弘幸・両澤千晶 画コンテ:米たにヨシトモ 演出:三好正人 キャラ作監:米山浩平 メカ作監:池田有 |
36話ストーリーダイジェスト ※34.35話からの続きになります。■34話から順にどうぞ。 人の居なくなった家ほど悲しいものはありません。 アスランの前にあるのは今は住む人もなく廃墟となったクライン邸でした。 ガラスというガラスは打ち壊され、植樹という植樹は掘り起こされ、人も無く音も無く、ただわびしさばかりが残こるクライン邸。日が沈む寸前のこのお屋敷で、彼を待ちうけていたのは、床に散らばり踏みにじられたコピックでした。 国家反逆罪で行方をくらませてしまった婚約者ラクス・クライン。 ザフトを裏切ったプラントの人気同人作家ラクス・クラインは、現在国家反逆罪で逃亡中の犯罪者、それゆえこれまで彼女が書いた自主的出版物は店頭からすべて撤収され、夏コミをはじめとするあらゆるイベントへの参加も禁止されてしまいました。 もうザフト×キラ本などどうなるのでしょう。 クヌキ・サンザシ・スイカズラ、色とりどりの木々に囲まれ、湖畔を臨む丘に建てられた美しいクライン邸。14の春、アスランがはじめてラクスと会ったのもここでした。 むせ返る薔薇の香りの立ち込めるサンルーム、ナイチンゲールのさえずりが聞こえる東屋、調子の悪くなったオカピー修理を喜んで請け負った日時計の横にある椅子、オシロイバナで色水を作って遊んだ花壇の脇にある水道。 そして日が沈んだ後もいつまでも薄暗闇に浮かぶハクモクレンの明かりを頼りにトーン貼りを手伝ったテラステーブル。 アスランは散らばったコピックを拾い集めながら、アナログ画が得意だったラクスに、いつか自分でペンタブを開発製作してプレゼントしてあげようと思うのでした。 歌と絵が上手だったラクス。 民俗学に造詣が深く、エジプトヲタクのイザークなどもラクスの描く「遊☆戯☆王」本にはまり、G奪取の際にはデュエル担当を是非自分にと隊長に申し出たものでした。 またニコルの伴奏のもとクルーゼ隊長がリコーダーを吹き、ザフト教育テレビで収録した「ふえはうたう」にも彼女は歌のお姉さんとしてゲスト出演してくれました。 こうしてみますと親の決めた婚約者でありましたけれど、共に過ごした日々が無性に懐かしくなるのでありました。 そのラクスが何故…何故あのようなことを…。 そんなことを思い返していたとき(あ、ディアッカのこと、忘れた)植樹の陰から突然飛びだしてきたのは、かつて自分が婚約者に贈ったハロでした。 「ハロ…」 「オマエモナー」 自分がプレゼントしたときは簡単な単語をいくつか登録しただけだったのに、次に会った時にはしっかりと2ちゃ○用語を話していたハロ。 奇妙な片言語を威勢良く話すハロには贈り主であるアスランも驚いたものです。 アスランは知らないでいましたが、婚約者からいただいた婚約の品に真っ先に「オマエモナー」を語句登録するラクス嬢は、実は2ちゃ○ねらでアスラン大佐スレの住人でもあるのでした。 そのころアークエンジェル。 夢の永久機関を手に入れたキラはAAクルーと再会をはたしていました。 キラはフリーダムにはニュートロンジャマーキャンセラーが搭載されていることを告げます。 驚くクルーに向かい、宇宙クジラ討伐に燃えるキラは、これは自分以外の誰にも触らせないと言い放ちます。 この台詞に怒ったのはあの「今までだってさんざんやっているくせに」の名ゼリフを吐いた名無しのメカニックでした。ろくに説明もなしにいきなりやって来て、いきなり機体を持ち込み、いきなりさわるなですから、整備班にしたらそりゃあ面白くありません。 自分の仕事に誇りをもつ名無しのメカニックは、ここでもまた抜群のツッコミを入れるのですが、脚本チェックの際あえなく消されてしまったようで、我々視聴者の耳には届かないのでした。残念。 このように宇宙クジラと戦うことを明かしていないキラに対する世間の風当たりは強いのでした。 話は再びプラントへ。 アスランがハロに導かれるように後をついていくと、行きつく先にあったのはラクスが以前主催したオンリーイベントで使用した会場でした。 中に入るとラクス嬢の優しい歌声が聞こえてきます。 その歌を聞いてはじめてアスランは、本当なら今日もここはオンリーイベントの会場として使用されるはずだったことに気がつき、発行が絶望的となったザフト×キラ本に思いをはせて、キラの回想を始めるのでした。 同人女ラクス嬢の本日の衣装は『プリティサミー』でした。 しかし、アスランが見たものは、アスランに戦うべきものを問う険しい表情のラクス嬢でした。 アスランの戦うものは何です? ラスク嬢のこの問いにアスランは答えることは出来ません。 自分はいったい何と戦えばいいのでしょう。 ニコルを失い、キラを殺し、カガリと論じ、ラクスに諭されてもまだ己の戦うべきものが見つからないアスラン。 俺の戦うものはいったい何なんだ?俺が戦うもの? 暗闇からの刺客から身をわかしてもなおアスランには戦うものを見出せません。 するとその時物陰から姿を見せたのはダコスタ君でした。 ああ、ダコタ君といえばあの虎隊長の部下! 砂漠の虎ことアンドリュー・バルトフェルド隊長は、ザフト軍の指揮を務める傍ら、トラヤのアンディ珈琲を経営し(※参照■18話)、さらにその地下で宇宙クジラ討伐隊を結成している人物でした。 自室のマントルピースの上に宇宙クジラのレリーフを飾っていた虎隊長は、ずっとこの宇宙クジラを倒す戦士を探していたのでした。どうやってこの戦争を終わりにするかとキラに問題提示した虎隊長はまた、宇宙クジラ討伐隊の隊長でもあったのです。 今は亡き虎隊長の遺志を受け継ぎ、宇宙クジラを倒す戦士を探していたダコスタ君。 ああ隊長、あなたの遺志が実現するものもうすぐです。 ラクス嬢・マツキヨ導師・ダコスタ君・キラ、こうして宇宙クジラと戦う戦士は次々に集結していきます。 さあアスランも宇宙クジラを倒しにいかねばなりません。 状況が飲みこめず決心のつかないアスランに向かってラクス嬢はトドメの一言を刺すのでした。 「キラは地球です。お話されたらいかがですか?」 こうしてアスランはキラに逢うため赤くて通常の3倍のジャスティスに乗り、プラントを旅立つのでした。 はたしてキラとアスランは宇宙クジラを倒すことが出きるでしょうか? また来週。 |
03/06/21